[内容]
怪異――それは常世と隠世（かくりよ）を結ぶ奇妙な体験。
怪異を蒐集していると時に変わった職業に行き当たることがある。
池に落ちたボールを拾うゴルフボールダイバー、弱った木々を治療する樹木医、伝書鳩を育てる伝書鳩ブリーダー……。そうした特殊な職業についている人々が体験する怪異は、一味も二味も変わっていることが多い。鮨職人が目撃した謎の「のっぺらぼう」の正体。死の香りを嗅ぎ分けるフレーバリスト。シューフィッターのもとにやってきた不気味なフジツボ男。路線バス運転手が遭遇したもの言わぬ乗客たち……。
「私の体験をどうか最後まで聞いてください……」
隠世はあなたのすぐ傍にも広がっている。特異な余韻を残す〈実話〉怪談アンソロジー。

[目次]
【第一話　神主の怪異その一】異形のモノ（しのはら史絵）
【第二話　神主の怪異その二】面呪縛（しのはら史絵）
【第三話　高層ビル窓拭き業の怪異】待ち人（正木信太郎）
【第四話　伝書鳩ブリーダーの怪異】死者からの伝言（正木信太郎）
【第五話　ゴルフボールダイバーの怪異】宝の山（しのはら史絵）
【第六話　結婚式ペーパーアイテム作成業の怪異】吉兆（正木信太郎）
【第七話　保育士の怪異】アタシャナイナイ（しのはら史絵）
【第八話　システムエンジニアの怪異】真夜中の警報（正木信太郎）
【第九話　鮨屋の怪異】魚怪（しのはら史絵）
【第十話　墓参り代行業の怪異】墓参りの文句（正木信太郎）
【第十一話　シューフィッターの怪異】巻き爪（しのはら史絵）
【第十二話　鑑識官の怪異】報復の痕跡（正木信太郎）
【第十三話　湯灌師の怪異】隠れた怨み（正木信太郎）
【第十四話　フレーバリストの怪異】死臭（しのはら史絵）
【第十五章　ロケーションコーディネーターの怪異】本当に見えていた景色（正木信太郎）
【第十六話　自動販売機設置業の怪異】土地憑き（正木信太郎）
【第十七話　競馬の予想屋の怪異】父の愛（しのはら史絵）
【第十八話　樹木医の怪異】魅入られた者（正木信太郎）
【第十九話　弁護士の怪異】覚えられない（しのはら史絵）
【第二十話　塾講師の怪異】見知らぬ生徒（正木信太郎）
【第二十一話　霊園管理人の怪異】木怪（しのはら史絵）
【第二十二話　絵馬・卒塔婆製造業の怪異】巡る因果（しのはら史絵）
【第二十三話　出会い系サイトのサクラの怪異】画面の向こう側（正木信太郎）
【第二十四話　証明写真機メンテナンス業の怪異】神隠し（しのはら史絵）
【第二十五話　路線バス運転手の怪異】職の矜持（正木信太郎）
【第二十六話　養蚕農家の怪異】おかいこさま（しのはら史絵）

[著者略歴]
正木信太郎（まさき・しんたろう）
怪談師・怪談作家。都内在住。11 歳の林間学校で初めて怪異に遭遇して以来、怪談に興味を持ち蒐集活動を始める。東京都内で怪談座談会や怪談トークイベント等を主催し、怪談文化の発展に努めている。著書に、神社をテーマとした『神職怪談』（イカロス出版）、珍しい趣味の怪談集『趣魅怪談～特殊趣味人が遭遇した21 の怪異～』（彩図社）、日本全国の川にまつわる怪異を集めた『川の怪談』（竹書房）等がある。またテレビやラジオのみならずDVD やYoutube にも多数出演している。

しのはら史絵（しのはら・しえ）
東京都出身。映像、ラジオドラマのプロット・シナリオ、小説・漫画原作を手掛ける傍ら怪談蒐集をしている。怪異座談会や怪談イベントも主催。2017 年『お化け屋敷で本当にあった怖い話』で実話怪談本デビュー。単著として『弔い怪談　葬歌』『弔い怪談　呪言歌』（竹書房）、共著として『趣魅怪談～特殊趣味人が遭遇した21 の怪異～』（彩図社）『お道具怪談』『呪物怪談』『恐怖箱　呪霊不動産』『実話怪談　牛首村』等（竹書房）を上梓。DVD『怪奇蒐集者しのはら史絵』出演。